24.とある高層ビル

スーパー財務省

25.財務長官執務室

スーパー財務長官執務室

大きなデスクがある。

その前の応接セットで対峙している統合軍司令長官とアジア系の女性。

40代くらいだが、美貌の人。肌は浅黒い。

スーパー財務長官

財務長官「(微笑しつつ)軍の司令長官が直々にいらっしゃったと思ったら、予算編成の見直しのご要望ですか」

司令長官「分析データには目を通してもらったと思う。太陽系内では精製不可能な物質でできたメッセージペナントが地球に向けて撃ち込まれてきた。そこには、『この地を制す』というメッセージがあった。反政府の残党にこれだけのことをする力はない・・・。いや、仮に彼らだとしても、太陽系外周の警備を厳重にする必要があることに変わりはない」

財務長官「お言葉だけど、今は、産業構造を抜本的に変えていかないといけない時期なの。軍隊組織を維持するための理屈付けはもう要らないわ。軍の組織を維持する費用を他のことに廻さないと人類はそれこそ滅亡するわよ。それに、軍に勤務している若い人材を早く社会建設に廻していかないと彼ら自身の人生にとっても良くないわ」

司令長官「雇用対策で申し上げているのではない。戦争がしたいからいっているのでもない」

財務長官「大統領があなたのことを『ブローブ』男といってるのを知ってる?」

司令長官「・・・」

財務長官「太陽系外周に大量に発見された謎の探査ブローブ・・・エイリアンの存在・・・昔からナスカの地上絵もイースター島の遺跡もエイリアンのつくったものといわれてきたけど、だからといって、宇宙人の侵略対策を予算に計上したかしら」

司令長官「・・・統合戦争で・・・大勢の人が死んだ。誰もが戦争を予期せずに、まさか戦争になるとは思わずに死んでいった。危機というのはすぐそばにいつも在る。それを直視しないで、見せ掛けの繁栄に酔いしれるだけでは、人類は・・・」

財務長官「・・・(微笑する)」

司令長官「一般の人はそれでいい。しかし、税金で皆の安全を守るべき我々は、いかなる危機についても直視し、対応していくべきではないのか?たとえ、それが結果的に反政府分子のいたずらだったとしても。笑われてもそれをやるのが、仕事ではないだろうか」

財務長官「・・・要求リストをみせてください」

司令長官、手にもっていた携帯電子手帳を財務長官に手渡す。

財務長官、じっとそれをみて

財務長官「艦船の増強予算は落とします。この・・・」

司令長官「大容量探査衛星」

財務長官「そう。それの新規配備は要求の半数認めましょう。ただし、統合軍の福利厚生施設の二つや三つは廃止して、民間に売ってください。それが条件」

司令長官「・・・感謝する」

財務長官「まだ、大統領のサインはもらってないわ。それまでは安心しないでね」

司令長官、立ち上がる。