夢 |
作者: 戦舟 2011年01月09日(日) 03時07分10秒公開 ID:T2SlLVuuolI |
深い海の底から、海面を見上げているようだ。意識が在るのか無いのかも、よく判らない不思議な感覚だ。私はもう死んでいるのだろうか?不意に誰かが私に語り掛けた。女の声だ。 『もうすぐ、あなたの命は尽きます。何か思い残す事はないですか?』 そうか、やはり私は・・・。 「私は映画を創っている。しかしまだ未完成なんだ。このまま死ぬわけにはいかない。」 『残念ですが、生き続けて望みを叶える事はもう出来ません。しかし、あなたの映画はまだ死なないでしょう。沢山の人がきっと生かし続けてくれます。』 辺りは真っ暗になった。色々な思いが脳裏を過ぎる。そうだな、あの絵描きとは、仲直りしておけばよかった。とか、皆を喜ばせようと思った映画ではあったが、連作なら整合性にもっと気を配ればよかったかな。とか、深く考えるわけでもなく、ただ思っていた。 遠くから霧笛が聞こえる。船がだんだん近づいてくるようだ。あの船は・・・。特徴的な球状艦首 優美なラインの甲板 三連の主砲塔 天守閣の如き司令塔 そうだ、おまえは私の夢だった。そしてこれからも・・・ 意識は奈落へと落ち、途絶えた |
|
■一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集 |