Yamato Only Novel Deck(ver3.0)


『異聞 宇宙戦艦ヤマトB』

 >>>戦舟   -- 11/01/02-01:57..No.[137]  
    「男なら危険を顧みず、死ぬと分かっていても行動しなければならない時が有る。負けると分かっていても戦わねばならぬ時が。 鉄郎はそれを知っていた・・・いいか、鉄郎にカスリ傷1つつけるな!無事に 地球に返すのだ!」
髑髏を艦首に戴く海賊船のブリッジに立つ、隻眼の男は厳かに言った。彼の名はキャプテンハーロック。
「俺の体は滅んでも、心は永遠に死なない。 こうして親友の乗るアルカディア号の心となって、宇宙の海を永遠に彷徨うのだ」
優美な飛行船のフォルムを持つ海賊船の船室に立つ、頬に傷を持つ美貌の女は、宇宙戦艦の心となった最愛の男の声を聞いていた。彼女の名はクイーンエメラルダス。
今、二隻の海賊船は機械化母星メーテルに舳先を向けた。囚われた少年、星野鉄郎を救出する為に。アルカディア号とクイーンエメラルダス号。この宇宙最強と謳われる戦闘艦達だが、前途は多難だ。
「キャプテン、レーダーが機械化人の艦隊を捕捉しました。左20度 距離100宇宙キロ 戦艦6 巡洋艦12 駆逐艦30」
レーダー手の有紀螢が報告する。
「螢、敵の空母か艦載機は?」
「今の所、確認できません」
ハーロックは考える。先に艦載機の攻撃でこちらの戦力を削ぎにくるかと思ったが、現状では艦隊戦を企てているように見える。大艦隊だが、あれとて前衛に過ぎん。物量で揉み潰すつもりか。しかし、何かがひっかかる。
「敵戦艦、増速しつつ進路を正面から三時の方向へ。現在30宇宙ノット。丁字戦法を取る模様。巡洋艦、駆逐艦部隊は両翼に展開。水雷戦部隊と思われます。」
ハーロックはニヤリと笑った。どの道、戦力は敵の方が圧倒的に多いのだ。小細工など無駄だ。
「クイーンエメラルダス号に通信。本艦の後方に占位し、両翼の敵水雷戦部隊の掃討を願う。正面の敵は、アルカディア号が引き受ける!スペースウルフ、発進準備!対艦攻撃装備をさせろ。クイーンエメラルダス号と連携して水雷戦隊を叩け!あの数のままで接近されると刺し違えになる!!」
クイーンエメラルダス号は、僅かに速度を落としアルカディア号の後方に回り込む。
「アルカディア号、了解した。雑魚は任せなさい。」
エメラルダスの口元が怪しく微笑む。妖艶とも言えた。いいわ、ここはトチローに花を持たせてあげる。小物を始末して、そっちが打ちやすいようお掃除してあげるわ。まあ、こちらも楽ってわけではないけれどね。
二隻は急速に戦闘態勢を整えた。単縦陣で正面突破を図るのだ。
「キャプテン、距離40宇宙キロ!」
「よし、アウトレンジ攻撃。パルサーカノン、斉射三連!ヤッタラン、外すなよ」
「誰に言ってまんねん!任せとき!!」

まばゆい光と轟音、そして九条の光が迸り、戦いが始った。



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