Yamato Only Novel Deck(ver3.0)


『異聞 宇宙戦艦ヤマトA』

 >>>戦舟   -- 11/01/02-01:55..No.[136]  
    汗だくで目が覚めた。不思議な夢だった。まるで他人の夢を自分の目線で見せられたようで、船酔いしたみたいに気分が悪い。ふと隣を見ると親友が心配そうに俺を見ていた。
「古代、大丈夫か?うなされてたみたいだが。ここは任せてくれて大丈夫だから少し休んだ方が良いんじゃないか?」
正直疲れていた。今度の戦いで、俺は兄と姪を失った。この宇宙に肉親と呼べる存在は、とうとういなくなった。姪に至っては、俺が自分で撃ち殺したようなものだ。ましてや、幾ら地球人類の存亡を賭けた戦いだったとはいえ、一つの星間国家を滅ぼしてしまったのだ。いくら落ち込んでもおかしくない、と自分でも思える状態だ。
しかし、曲がりなりにも自分は指揮官なのだ。それがあろう事か、不覚にも第一艦橋で居眠りしてしまうとは。恥ずかしいと思う気持ちが強がりを言わせた。
「大丈夫だよ、島。それよりも次のワープで銀河系に突入だ。しっかり航路計算してくれよ。」
「まかせとけ。おまえはそこでふんぞり返ってくれてていいよ。ユキの事でも考えて鼻の下伸ばしてろ。」
「おまえさ、一言多いよ!」
文句を言おうと古代が腰を浮かすと、冷静な真田の声がそれを遮った。
「二人とも安心はできんぞ。二重銀河の崩壊は予想以上に広範囲の空間に影響を及ぼしている。ここまでのワープ航路をトレースしてみても、普段より精度が落ちている事は 古代、島 おまえらだって判っているんだろう?」
「判ってますよ、真田さん。ここが俺の腕の見せ所でしょ!俺とヤマトを信じて下さい。」
島が明るい口調で真田に言い返す。
「航海長、自分の腕だけでヤマトを飛ばしてるみたいな言い方はひっかかるなァ」
太田が笑いながら島に突っかかる。すると今度は南部が澄ました顔で俺に言った。
「ま、古代さんが居眠りするくらいだから、何にも起きたりはしませんよね。何せ艦長代理の危機を嗅ぎ分ける鼻は、まさに野生のカンですからね。」
「南部ゥー!おまえまで言うか!!」
山崎機関長と相原も笑いながら見ている。第一艦橋の雰囲気は明るかった。そう、今はなにも心配いらない。もうすぐ地球に帰れる、ユキをこの腕に抱く事ができる。
「艦長代理、一時間後にワープ可能空間に到達、連続ワープに入ります。」
島がわざと形式ばった口調で報告する。
「了解した。航海長」 
ユキに、早く会いたい。不意にそう強く感じた

一時間後 ヤマトは銀河系に到達する為に連続ワープに入った。時に西暦2202年。一つの戦いが終わり、偉大な戦艦は母なる星を目指しひた走っていた。


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