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>>>本田 英臣
-- 06/12/22-22:38..No.[125] |
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(この話は2006年冬に実際に起こった出来事をアレンジしたものです) 公道を疾走している1台の車。2203年型日産フーガ。 ハンドルを握っているのは沖田艦長。沖田艦長は運転が好きだった。 助手席には島。運転席後ろの後部座席には真田。その隣には古代が座っている。この時,日産フーガに乗っていたのはこの4人。 ハンドルを握っている沖田艦長。助手席の島をちらりと見る。 沖田「…島。わしはこれから藤堂と防衛司令部主催の親睦会に参加しなければならん。酒も入るし,帰りも遅くなる。悪いがこの先の駅で運転を替わってくれ。わしはそこから列車に乗ることにする。わしのことは気にしなくていい。お前たちはこの車で先に帰ってくれ」 島「わかりました」 駅の通りの車道のわきに停車する日産フーガ。ちなみにここは駐車禁止区域である。すぐに車を降りる沖田艦長。 運転席でハンドルを握っている島へ身をかがめる沖田艦長。日産フーガのエンジンはかかったまま。アイドリング状態である。 沖田「…真田くん。古代。また月曜日に。(島へ)頼んだぞ」 島「わかりました」 真田「お気をつけて。艦長」 古代「飲みすぎないでくださいね。艦長」 ヒゲを笑みで動かして背中を向けて遠ざかっていく沖田艦長。 助手席へ移る古代。 古代「さあ。帰ろう。島」 島「そうだな。(ギヤを入れる)」 突然エンジンが停止する日産フーガ。 島「(首をかしげる)あれ? おかしいな。エンジンが止まったぞ」 真田「もう一度,点検してみろ」 古代「おい。航海長。また悪い癖がでたか? またどっかの点検もれじゃないのか?」 島「おいおい。さっきまでエンジンはかかっていたんだぞ。古代。(ハンドルの奥をのぞく)」 シートベルトを何回もカチカチはめ込んでいる古代。 古代「シートベルトは関係ないか。最近の車は色々とややこしいからな。ベルトを外すとエンジンが止まるとかじゃあないよな」 島「…! おい! 古代! キーがささってないぞ!」 古代「え?」 ハンドルを握っている島の横と後ろから運転席をのぞき込む古代と真田。 顔色が変わる真田。 真田「…キーレスエントリー…」 島「なんだって!」 古代「鍵を持っているだけでエンジンがかかるというあれか!」 考え込む真田。 真田「…さっきまでエンジンはアイドリング状態だった。それが突然停まったとなると…。この車のキーが何らかの原因でこの車から離れていったと考えるしかない…」 黙って見ている古代と島。 真田「キーがエリアから離れると自動的にエンジンは停まってしまうんだ。…しかし。どこだ。どこにあるんだ。この車のキーは…」 駅前派出所から警官が不審そうにこちらを見つける。 島「まずいぞ! お巡りさんに見つかった! ここは駐車禁止だ! このままじゃ駐車違反の切符を切られてしまうぞ!」 古代「自動車の窃盗団と間違われるかも知れない」 真田「わかったぞ! 艦長だ! 艦長がこの車のキーを持っているんだ!」 島「普段キーレスでエンジンかけているから,うっかり持ってっちゃったんだ!」 古代「早く艦長の携帯へ電話を…!」 島「艦長は携帯が嫌いなんだよ。古代。持ってないよ」 真田「古代! 艦長を追え! 艦長が列車に乗る前に艦長をつかまえてキーをもらってくるんだ!」 古代「わかった! (ベルトを外す)」 島「頼むぞ。必ずここへ帰ってきてくれ」 真田「いいか。古代。忘れるなよ。乗る前にもらうんだぞ。行って,そして帰ってくるのだ!」 日産フーガを飛び出す古代。その様子がいっそう警官の不審をあおりたててしまったようだ。目をしかめてのぞき込む警官。 警官と目を合わせないようにしている島と真田。 島「…待たせるのも辛いけど,待つのもきついな…」 真田「まさか,こんなことがあろうとは…」 帰宅ラッシュが始まり,人や車が増える。いささか交通の障害として目立ち始めた日産フーガ。クラクションが鳴る。 ついに動き始めた警官。まっすぐこちらへ向かってくる。 冷や汗の島。 島「…だめだ…。こっちに来る…」 真田「だから機械は嫌いなんだ」 その時,走って戻ってくる人影。…古代だ。 古代「フーガよ! 古代は帰ってきたあ!」 気づく真田。 真田「島! 助手席へいけ! (古代へ)古代! そのまま運転席へ座るんだ! 急げ!」 運転席へ飛び込む古代。ベルトをしめてブレーキを踏む。 走ってくる警官。 真田「古代! 行け!」 ボタンを押す古代。エンジンがかかる。ギヤを入れる古代。 真田「行けえ! 行かんかあ!」 脱兎のごとく公道を走り出す日産フーガ。取り残される警官。 (教訓:困ったら警察に相談しましょう) |
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