Yamato Only Novel Deck(ver3.0)


『眉毛問題』

 >>>ラティス   -- 02/11/09-14:39..No.[10]  
    「眉毛が太い貴方が好き」 (いきなり失礼!)

 そう唐突に言われた島は、はっきり言って嬉しい気持ちにはなれなかった。…無理もないが。
 本気なのか冗談なのか知らないが、一応の告白である。

「そ…それはどうも…」
 島は軽く受け流して、その場を離れた。
「(そりゃ、確かに俺は、ナチュラルで古代より太いけどさ…)」
 以前から自覚していたとはいえ、正面からいざ言われるとキツイ。しかも、中途半端な告白の言葉で、だ。
 島は不貞腐れて、第一艦橋の自らの席・チーフパイロット席に着き、自動操縦のまま、ボーっと外宇宙を睨むように眺めていた。 (どういう眺め方だ)

 そんな島の異変に気づいた、目聡い人物がいた。 (これまた失礼!)
「おい島。どうかしたのか?」
 彼がポンと島の肩に手を置く。
「八ッ…あ、真田さん!」
 我に返った島が振り向くと、そこには、親友の古代…ではなく、真田がいた。
「島、何か思い詰めていたようだったが?」
「真田さん、実は…あっ!!」
 言いかけて、島はパッと手で口を覆った。
 そう…気付いてしまったのだ。真田には、問題のアレが…!
「ん?何だ?」
「いっ…いえ、何でもないですっ(汗)さ、さぁ、トイレに入って来ないと。それじゃ!」
 何処かで聞いた(見た?)事のあるセリフを残し、島はそそくさと立ち去っていった。
 後に残った真田は…
「?一体何なんだ?」
 無論、知る由もなかった…。

 一方、島はというと、トイレに行くフリをして、自室のある居住区へと逃げてきた。
「…しっかし、驚きだなぁ…」
 未だ興奮冷めやらず状態である。
 ぶつくさつぶやきながら、自室への廊下を歩いていると…
「おう島!どうしたんだ?」
 またもイキナリ声をかけられた。しかも似たようなセリフで。
「んわっっ!!…あぁ、古代か…。びっくりしたぁ〜…(ため息混じり)」
 大げさにビクッとして顔を上げると、今度こそ親友の古代がいた。思わず胸を押さえて大きなため息が。
「?何だ何だ?そんなに驚くことないだろ」
「い、いやなァ古代。実は、真田さんにはマユ…」
 そこまで言いかけた言葉を、古代が遮った。
「あぁ、ないんだろ?知ってるさ」
「ヘェッ!?」
 古代の意外な言葉に、島は声が裏返ってしまった。
「え!?気付いてなかったのか?島」
 今度は逆に古代が驚く。
「あ、あぁ…。お前は知ってたのか」
 さすがに島は落ち着きが早い。
「勿論だ。まぁ、お前より俺の方が、真田さんと良く一緒に行動しているからな」
「そ〜いやそうだな」
「知ってるか、島?真田さんってさ…」
「えっ、なになに?(キョーミシンシン)」
 …この後、約1時間ほど、古代による真田暴露話が続いた。

 この出来事があってから、何故か、ヤマト艦内では、にわかに“真田の眉毛”が噂になった。…勿論、古代と島によって広まったのだが。
 そして当然、第一艦橋でも…。
「でもアレって、本当のとこ、やっぱり全ゾリなのかしら?」
 中でも、最も興味津々なのは雪だ。同じ“薄い仲間”として…。
「え〜っ、まさか…」 by古代
「でも、あり得るよな…」 by島
「あ、実験に失敗してなくなったとか」 by相原
「「「あ〜…う〜ん…」」」 by一同
 ご本人が今現地にいないのを良いことに、メインクルーたちの妄想は広がる。

 と、そこへ…「プシューン」というエレベーターのドアの開く音と共に、1人のイカツイ男が…。
「うん?みんなしてどうしたんだ?揃いも揃っ…」
 そこまで言いかけたとき、クルーたちの目が一斉に男の方を向いた。
「「「さっ、真田さんっ!?!!」」」 (大ハモリ)
「なっ、何だ!?」
 思わず後ずさる真田。フリーズする真田以外のクルーたち。
「…な…何だ…?俺が何かしたか…?」
 恐る恐る聞く真田。
 すると、数秒間フリーズしていたメインクルーたちは、古代や島の席の周りに集まって、緊急会議を始めた。
「…?」
 1人“意味不明”状態にある真田をよそに…数秒後、会議は終了したらしく、再び真田に視線が集中した。
「…???」
 依然として“意味不明”状態の真田。
 と、クルーたちは、視線を合わせ、頷き合い、そして雪が進み出てきた。
「…真田さん、貴方の…その…眉毛のことなんですけど…」
「!!」
「「「!!(イキナリかよっ!!)」」」
 目を見開く真田。
 再びフリーズする一同。
「…やっぱ全ゾリ?」
 言ってしまったぁぁ、雪ぃ!
「そのせいだったんですね、そのイカツイ顔。今度マユペンシル貸してあげますよ、真田さん!」
「「「(誰もそんなこと聞こうなんて言ってないじゃないか、雪…!)」」」
 雪以外の一同はみな、顔が青ざめている。
 真田は震えが止まらない。耐えろ、真田!

 …しかし、雪のトドメの一撃が!

「そのボコってる目じゃ、キモイですもんね」
 一同、もう言葉もない。
 真田の目には涙が…。
 それでも真田は耐えていた。…が、2秒後、

「うっ…うわああぁぁぁぁぁーっ!!!!」

 真田はとうとう、絶叫と共に走り去ってしまった。
 やがて8秒後、

「この艦は人でなしの集団かあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 という、悲痛なまでの真田の叫びが、ヤマト艦内中に響き渡った…。


 雪以外のクルーたちは思った、
「(このことを雪に頼むんじゃなかった。セレクト間違えた…)」
 …と。

 相原は思った、
「(あの時僕って、あんなだったんだ…。その気持ち分かりますよ、真田さん)」
 …と。
 そういう問題なのだろうか。
 
 島は思った、
「(俺って…眉毛あるだけ、真田さんよりマシなのかも…)」
 …と。

 そして、一同は思った、
「(真田さんって、相原(僕)だったんだ…)」
 …と。
 一同、意味不明だ。


 その後しばらく、真田が勤務で第一艦橋に現れる時は、必ずその目に涙が浮かんでいたらしい。

 また、急に真田が、クルーを容赦なくしごき始めたことは、言うまでもない。

 それでも、あの時真田が艦外へ飛び出さずに済んだのは、彼の生まれつきの冷静さ故かも知れない。

 …だが、間違えなく、このことが返ってクルーたちの好奇心を煽ることになってしまった。

 しかし、このことが、ある一人の(眉毛の太い)男の心を慰めることとなったのも、確かなのである。


ごめんなさい!

>>> ラティス   -- 02/11/09-14:47..No.[11]
 
     変な文章でごめんなさい!真田さんファンの方々には、なんとお詫びすれば良いか…。これでも、私も真田さんファンなのですが。
 初のヤマト小説です。感想頂ければ幸いです。
 …ほんとに、情けないばかりです……。
 
楽しいです^^

>>> 長田亀吉   -- 02/11/10-17:47..No.[12]
 
     とても楽しく読ませていただきました!
 それぞれのキャラの特徴を良くつかんで、違和感無くお話が流れていくので読みやすかったです。
 文中の(いきなり失礼!ごめんなさい!)(これまた失礼!)といったコメントは、小説の中で作者の顔が垣間見えてほほえましいです。(ただ、作者コメント欄でのコメントでお気持ちは充分わかりますので、そちらでフォローされたほうがいいかもしれませんね(^^))
「「「さっ、真田さんっ!?!!」」」 (大ハモリ)という部分が面白くて、脱帽です!
 次回作も期待しております!!
 
もみ上げの太い君も好き!

>>> Alice   -- 02/11/10-21:58..No.[13]
 
    「眉毛が太い貴方が好き」なんて、島さんに言ったのは、一体誰なんでしょう?なんかそこのところが、すっごく気になります。ヤマトにおける眉毛問題は、古くて新しい永遠のテーマかもしれません。
メインクルーとして活躍するあの人もこの人も、実はほとんど18歳。初々しくて、くったくのない若者…っていう雰囲気が行間から伝わってきます。いいわね〜〜(しみじみ)
 


>>> じゅう   -- 02/11/11-22:38..No.[14]
 
    はっはっは!場面の情景を創造すると実に楽しいです。
文章のテンポもよくて、サクサク読めました。
「涙目の真田さん」…いやー創作意欲をかきたてられます!(^^)
次回作も期待しております!

 


>>> ラティス   -- 02/11/12-16:26..No.[15]
 
     艦長、Aliceさん、じゅうさん、このようなつたない小説に感想をいただき、ありがとうございます!!とても嬉しいです!皆様のご意見を参考に、少し手直しをしてみました。
 この冒頭の、島さんに「眉毛が太い貴方が好き」と言ったのは、一応、私の友人の設定です。島さんファンの友人なのです。
 途中の、『何処かで聞いた(見た?)事のあるセリフ』に気付いて頂ければ、これ幸いです。とてもマニアックなのですが…。
 
 実はもう1つあるにはあるのですが…今は止めておきます。
 

 


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