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>>>長田亀吉
-- 03/01/25-13:31..No.[39] |
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医務室に急行した古代たちはそこで信じられない光景を見た。 一度は死んだはずのクルーたちの心電図が再び波動を取り戻しているではないか。 中には、わずかにうめきをあげるものさえ居る。 「先生・・・!」 唖然として佐渡に説明を求める古代。 佐渡はかぶりを振った。 「わからん、わからんのだよ。しかし、ある時点を境に生体組織の再生が成されたのは確かだな。ほら、みろ、古代。わしも戦闘中怪我をしたんだが・・・ほら、なおっとる」 佐渡は腕を見せる。 「ハイドロコスモジェン砲の影響かもしれんな」 真田がつぶやいた。 「あの砲の原理はブラックボックスに包まれたままだが、確かに、『再生』効果があらゆるものに顕れている」 その後、一旦は艦を出て火葬場に行きかけた棺も行き先を病院に変えられた。そして、もちろん、艦内に残った遺体も一応は、病院に送られた。 全てが生き返ったわけではない。遺体のまま、再度火葬場送りになった者の方がむしろ多かった。蘇生されたのは、頭と体が離れておらず、内臓もとりあえずは全部揃っている者だけであった。 地球防衛軍中央病院に、蘇生されたものは負傷者として入院した。 古代は、しばらくの間、遺族訪問と最小限の祝典出席に追われて、なかなか負傷者への見舞いにはいけなかった。その代わりに・・・森生活班長が、時間を工夫して(彼女も暇ではなかった。)病院に訪れていた。もちろん、看護婦としてではない。ヤマトの生活班長としてクルーの状態を把握する必要があるからだ。地球防衛軍は未だ臨戦体制にあった。ボラー連邦はべムラーゼを失ったとはいえ、国家として滅びたわけではない。いつまた、地球圏にその魔の手を延ばすやも知れず、ガルマンガミラスとて、全幅の信頼をおける国家かというと実に怪しかった。 つまり、ヤマトはいつでも飛び立てねばならなかった。ヤマト本体の修復作業は真田が指揮を執り、順調に進んでいる。しかし、それを動かすクルーが居なくてはどうにもならない。森雪はヤマトの生活班長として、病院の医療計画にも意見を出し、嫌われた。 クルーの回復は概ね順調と言ってよかった。しかし、土門竜介だけは、傷が深く、蘇生はしたものの意識がまだ戻っていない。佐渡は自ら主治医を買って出た。そして、このままでは、弱った体が逆に彼の命を奪うという結論に達した。彼の命を生かす方法は一つしかなかった。 その手術は佐渡と真田の共同作業で行われた。 森雪もサポートした。 「がんばるんじゃぞ、土門」 佐渡がつぶやく。 手術は、16時間かかった。 手術を終えて、佐渡はぐったりと椅子に座り込んだ。 森雪がうかがうように佐渡を見つめた。 佐渡は、頭を抱えたまま、無言だった。 真田が、ぽんと森雪の肩に手を置いて微笑した。 「たぶん、大丈夫だ」 森雪は涙を流した。 それは生活班長としてではない。 土門竜介の友人としての涙であった。 そして、朝が来た。 |
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とりあえず >>> 長田亀吉 -- 03/01/25-13:32..No.[40] | |||
続きを書きました。 あと1回で完結させます。 | |||