何故か今までどなたも投稿しておられないので、トピックを作ってしまいました。
スタートレック映画シリーズ第8作にあたるこの作品では、ピカード艦長と宿敵ボーグの闘い(ボーグに占拠されたエンプラE号内でのピカードの奮闘は、まさにスタトレ版「ダイ・ハード」であり「エイリアン」です)が描かれます。全編通じてスピーディーなアクション主体の作品ですが、随所に意味深なセリフが散りばめられ、コミカルなシーンもあって、スタートレックの面白さを満喫できるはずです。
前作「ジェネレーション」がいろいろな要素を詰め込みすぎて消化不良の感があったので、ボーグとの闘いと、21世紀の人類初のワープ航法成功(まるでヤマトだ!)による異星人とのファースト・コンタクト成功に賭ける乗組員の姿の2点に絞り込んだことで、非常に筋が通った作品に仕上がったと思います。
現時点(9作製作済み)で、これをベスト作品とする見方が優勢なのも頷けます。
監督を務めるジョナサン・フレークスは、もともとはライカー副長を演じる俳優で(今回は監督兼出演)、TNGのエピソードを数本監督した後、これが映画監督第1作目です。彼は演技する立場でスタトレを知り尽くしているのか、監督として非常にいい仕事をしていると評価できます。あまり存在感のないライカー副長役よりも監督としてスタトレ史に名を留めるでしょう。
私個人としては、TNGの最終回"All Good Things"がベストだと思っていますが、この"First Contact"も優越つけがたいです。最終回は、スタートレックシリーズのベーシックなテーマである「人間性、人間らしさ」を追求するために、現在、過去、未来の時間を旅するピカード艦長の姿を見事に描いていました。一方、"First Contact"は最終回の哲学的な深遠さはなく、あくまでアクション主体ですが、それでもピカードやデータ少佐などの言動に「人間らしさの追求」を見出しました。
24世紀で人類初のワープ航法を成功させた偉人として崇められている人物が、実は飲んだくれのマッドサイエンティストだった、というのは笑えます。この21世紀半ばは第3次世界大戦で荒廃した時代とされていますが、この後人類は宇宙に出て、24世紀の明るい未来を築くことになるのでしょう。
"I envy you ... taking these first steps into a new frontier."-ピカードが21世紀の住人リリーに託した言葉です。