要するにハリウッド版「ヤマトV」である。
地球環境の変化により人類滅亡が迫り、新たに移住できそうな星を探しだすのが主なストーリー。
内容としてはハードSF系に入り、やや難解な単語も出てくる。
時間も3時間弱あり、「がっつり系」の映画と言って差し支えないだろう。
ただ、その時間が短いと感じるほど秀逸なストーリー展開だ。
ストーリーを大きく分けると、主人公が宇宙船に乗るまで、乗って探検に出かけた後、そしてラストにつながるシーンで構成される。
序盤はややオカルトめいた話かと思うが、終盤に向けた大きな伏線であり、それが分かったときに少し感動を覚えてしまった。
主人公もエンジニアということで理性的なキャラに見えてしまうが最も人間臭いキャラである点も良い。
特筆すべきはうまくストーリーと絡めたSF考証の精緻さだろう。
「ブラックホール」「相対性理論(ウラシマ効果)」「事象の地平線」「特異点」など、現在までに明らかになっている
物理学の知識をふんだんに折り込み、それを極力正確に可視化、演出している点は高く評価したい。
これらの知識を持ったうえで本作を見るととても楽しめると思うが、そんな小難しいことは関係ないという人向けに
ちゃんと「家族愛」というテーマも用意されている。
父親が子を思う気持ち。地球に残された子供の孤独。無情に流れる時間。親子の不信と邂逅。
一見ハリウッド映画にありきたりのような展開かと思うことなかれ、本作が秀逸なのは実は「愛」こそ我々の知覚できない時空間を超えた「第5次元」「重力」として科学的に物語と絡んでくるのだ。
果たして親子の愛によって人類は救われるのか。
ということでSFや宇宙が好きな人にはぜひともオススメする作品である。
宇宙を題材としたSF作品(スペースオペラ)としては「2001年宇宙の旅」「コンタクト」などが有名だが、
これらの作品に本作インターステラーを並べても何の謙遜もないレベルである。
余談だが、アン・ハサウェイ演じるブランド博士がこれまた非凡なる美人で、これほどショートカットが似合う女優はいないだろう。