懐かしいですね。
20年近く観てないはずですが、おおむねのところは覚えていると思います。
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・偶発的な事件・事故から、戦端が開かれる
・潜水艦が独自の判断で核兵器使用
・ワルシャワ条約機構軍(←この名称を知らない方が既に多いと思います)が西欧へ押し寄せ、総崩れとなるNATO側が戦術核で反撃
・これらのエスカレーション(段階的戦線拡大)を経て、両陣営の全面核戦争へ突入
ーこういうシナリオを真面目な懸念として、或いはフィクションの領域で語る時代は、確かにあったのです。
本作はそうした時代の末期において、おくれて乗っかる形で創られたと言っていいでしょう。論議を呼んだというから、同時代的には緊張感を持たせることができたのかもしれません。
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核戦争の恐怖は決して去ってはいない、しかしそれを語る文脈は様変わりして、かつて語られた言葉は唖然とするほど時代離れ、過去の遺物と化してしまっている。
今の観点から本作を観れば、結局残るのはそういう印象になります。それは核戦争のシナリオがどうというだけでなく、作品全体から醸し出されるものがそうなのです。
すべての作品は成立した時代の産物であることを免れない、はずです。しかしご存知のとおり古典と呼ばれるごく一部のものたちは、どうしてか時代状況の違いを越えて語り継がれていくことができる。
それ以外のすべてと同様、本作はそうはいかなかった。歳月のふるいにかけられてこぼれていったもののひとつとして、かつての時代の証人の役割は残ったけれども。
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観て面白い作品だとは、私も申しません。作品評価そのものは長田艦長のコメントに同感です。
ただトピックに上がってきたところでいろいろと思い出して、考えることがあったのでここに。