映画館に行くかどうか,これほど悩んだ作品も珍しいのですが,行って本当に良かったです。
個人的に原作のボンド像のファンで,「リビング・デイライツ」のティモシー・ダルトンを信奉している関係上,新ボンドがハードな内容だ,ということは嬉しかったのですが,公式サイト等で見た主役の顔写真が気に入らなかったんですね。
金髪に薄い水色の目(黒髪で濃いブルーアイじゃなきゃイヤ,と思ってました),リス科の小動物風にホホ袋のあるヤクザ顔(…だと思ってたんです,すみません…)。
「残酷な印象の二枚目」というボンド像と合わない,と思いこんでいたわけです。
しかし!
映画館で見てびっくり,スクリーン狭しと走り回り,殴り,射撃するニューボンドは,まさに原作に出てくるような「残酷な二枚目」でした。
冷静に,ポーカーフェイスで(大騒ぎせず)激しいアクションをこなすところがボンドらしさなのかなあ,と,見終わってから感じています。
映画を見る前はあれほど「ヤクザ顔」だと思っていた主役の顔が,見ているうちにハンサムに思えてくるから不思議です。
クールなデキる男がふと見せる優しい顔。これが女性の心をぐぐっと捉えるんですね〜。
というわけで,クールガイ好きな真田ファンの貴女にお勧めの映画です。
それでは,ほかに見ていて気づいたことを数点…(ここからネタパレにつきご注意ください)
1 ヒロインも薄幸な雰囲気が良かったのですが,それより,海辺のホテルでボンドといい関係になる敵の奥さんが,超美人でしたね〜。
お色気も爆発してたし,ダンナはあまりのいい女ぶりに(あれ…主役のボンドガール,こんな顔だっけ)と思ったそうです。
2 オープニングのアニメはちゃちっぽくて正直イマイチでした。普通にタイトル用ボンドガールが綺麗な体を見せてくれる映像のほうが良かった…
3 見終わった後,いい映画なのにイマイチ爽快感がなく,ええい何でだ,という不満感が残った理由を考えてみました。
(1) ヴェスパーの死に方が原作のような「ボンドと敵の板挟みでの自殺,遺書で全ての情報を提供」という形ではなく,なんだか事故死っぽい構成だったこと。
そのせいで,「助けられなかった」感が出てしまいました。そのうえ,ヴェスパーも最後までボンドを騙していた感じに…
(2) 敵のボス?をやっつけた感が薄かったこと。足を撃って捕まえただけでは,あいつが真のボスかどうかわからないので,ボンドの完全勝利,という感じがしません。
(3) 肝心の任務である「国民の血税を取り戻したかどうか」もハッキリしなかったこと。
正直,ベニスの戦いのシーンでは,お金の入ったジュラルミンケースの行き先ばかり気にしてました。
「ボンド,早くお金拾わないと!!」とか…(小市民?)
原作はヴェスパーの遺体の横でボンドが涙をふいて,公人ボンドに戻り,「あん畜生は,もう死んでるからな」と言うところで終わるのですが,映画である以上,任務は遂行したところをちゃんと見せて欲しかったです。
何にしても,大画面で見る値打ちは十分な映画だと思います。公開期間も少ないみたいなので,まだの方はよろしければ是非ご覧下さい。