今回の作品はいわゆる最初のスターウォーズ(エピソード4)につなげるための作品ということでラストが「アナキン、ダースベーダーに」「ルークとレイアの誕生」と悲劇になることが決まっており、観客もそれは知っているので、そこに至るまでの過程を見せる映画です。だから、観る前に思っていたのですが、「劇場を出るときにカタルシスは感じずに重い気分で出るのだろうな」と思ったりしてました。あるいは哀しくなって出てくるんじゃないかと。しかし、予想外に高揚した気分で劇場を後にした自分がいます。悲しい物語を見せられて何故なんだろうと自問します。で、思ったのは悲劇を見せられたんじゃないということ。これは前三部作を観ているから分っていることですが、アナキンは息子ルークに精神的にも救われるラストが前三部作に用意されています。そこにつなげるための「希望」の種がラストで蒔かれ、そしてそれぞれの登場人物が未来を信じている、そして、その信念が実を結ぶことを知っている観客の私…。
バッドエンディングの中に埋もれているハッピーエンディングというと分りやすいでしょうか。「負けないぞ」「信じるぞ」というオビワン、ヨーダらに奮い立たせてもらった気がするのです。
一方、個々のシーンについてみますと、さすがスターウォーズ、一分たりとも手を抜いたシーンがありません。ほんの少し窓に映っている風景にさえ、手の込んだ特撮が導入されています。演技陣の演技も一流なら、音楽も一流。世界一贅沢な映画を観ているという充実感。こういう映画なら5000円の入場料でも勿体無くないと思うのは私だけでしょうか?
字幕の出来があまり良くないという話もありますが、英語がある程度理解できる人なら、字幕版をお勧めします。なぜなら、英語のギャグが結構ありますし、吹き替え版はオリジナルに忠実とは云いがたいからです。ただ、字幕無しでは全く言葉が分らないという方には、逆に吹き替え版をお勧めします。と、いうのは、字幕自体の出来も「?」な部分があったのと字幕の位置が画面の白い部分をバックにしたりするシーンもあったりして、見にくいからです。これほどの大作の字幕なのだから、もう少し配慮して欲しかったと思います。
私自身は、この映画を観て、ますますスターウォーズが好きになりました。DVDを買い揃えるのは当然ですが、その前に劇場でこの作品をあと何度かは観たいと思います。