個人的には、富野監督の作品は90年代以降の方がしっくりきますし、ファースト以降本作までの第一期ガンダムに強い思い入れがあるわけでもありません。タイトルに冠されているシャアに至っては、明白に嫌っています。
それでも、富野監督が持てる情念を注ぎ込み、天分に輝くふたりの男のすれ違いを描き切った本作は、そのクオリティと気迫で観る者を圧倒し、2時間を長く感じることはありません。印象的なセリフも山のようにあり、主役ふたりに思い入れのある方にとっては最高の映画なのではないでしょうか。
今なお全ガンダムのMS戦描写の頂点に立ち続ける、最終パートのガンダムvsサザビーの一騎打ちも必見。16年前昔の作品だということなど、簡単に頭から追い出せます。
物語的には何の解決も見ず(そもそも双方とも解決など目指していない)力と感情のぶつけ合いに終始しますが、なお余韻の残る終幕になり得ているのは流石です。TMネットワークのエンドテーマ「beyond the time」も、作品と見事に同調にしていますし。
現在の富野監督は、他の続編ガンダムと同様に本作にも否定的なのでしょうが、ただの観客としてはなお価値を持ち続けている作品だと信じるので、機会があれば是非御覧下さい(まあ未鑑賞の方の方が少ないか)。私のようなシャア嫌いでなければ^^;、より一層味わい深いと思います。
ただし… 「ファースト」鑑賞済の方に限り(そうでないと100%意味不明^^;)。