第352話「ガイデルの罪」
・デスラー暦803年3月19日
 ガイデルはヤマトを捕獲してしまった。
 総統は「あれほどオリオン湾には手を出すなといっておいたのに!」とお怒りだが、そんな指令は公式には出ていない。公式には「全宇宙を制覇するのだ、あっはっはっ」とのみ宣言されている。飲んだときに、ちょっとだけ例外を云ったかもしれないが、酔ってたので誰も聞いていなかった。
 しかし、とにもかくにもガイデルは総統のお気に入りのヤマトを捕獲してしまい、今や死罪を言い渡されかねない状態である。
 総統は最後に一度ガイデルに面会しようとおっしゃった。一応言い訳を聞こうというのである。
 ガイデルは言い訳も何も無く、手錠をされて総統の前に立った。
 私は彼の友として側に行って、かつて「ぴ」で落とされた将軍が、穴の中から秀逸な駄洒落を叫び、ぎりぎりのところで救出されたことを告げた。
 ガイデルは戦術には長けているが駄洒落は苦手だ。
 「もっと前に云ってくれよ。時間がタラン」
 私は目を丸くして反応した。今のレベルでは死罪を免れない…。

 「ガイデル。貴様は重い罪を犯した。何かいい訳があれば聞いてやろう」
 総統はピストルを抜きながらガイデルに照準を合わせた。

 「まずい。今日は『ぴ』の穴じゃない」
 私は焦り、ガイデルはもっと焦っていた。
 そして、ついに口を開いた!

 「申し訳なくて、このガイデル、汗をガイデル」
 「なにぃ…」
 総統の顔が険しくなった。まずい。まずいぞ、ガイデル!

  その時である。
 ガイデルは突然サウンドトラック「デスラー・襲撃」のテーマに乗ってバレエダンスを踊り始めた。
 ターン、ジャンプ、ターン…。
 
 そして、総統は一人つぶやいた。
 「ガイデルが…汗をガイデル」
 
 私も応援しようと「ヤマト捕獲をあヤマットりますなあ」と加えた。

 総統の中で笑みが広がり、銃は下ろされた。
 総統は「ガイデルの罪は許そう。仕事に戻れ」

 ほっとした。
 しかし、次の瞬間
 …
 私の立っていた部分の床が…まさか!!
 この穴の先にはガミラスサソリがうようよしている巣窟がある。
 私は5秒以内に駄洒落を考え付かねばならない!!

 ああ!!
長田亀吉
http://yamatozero.cool.ne.jp/
2010年03月13日(土) 11時57分13秒 公開
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■作者からのメッセージ
タランの運命やいかに!
続き書きません。

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