クッション
・デスラー暦800年○月☆日
今日もまたまたゲールと飲みに行った。「居酒屋ヤマト」という不吉な名前の店で、おやぢの影が妙に薄い。それは兎も角、油染みた椅子に腰を下ろそうとした時、ゲールがヴィトンのバッグから大事そうに「マイクッション」を取り出した。それは、ドーナッツ型をしていた。私が、「ゲール、ま、まさか?」と言うと、ゲールは青い顔を少し紅潮させた。私は頭の中が真っ白になった。そ、総統!!
「労災を申請しようかとも思うのだが・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「悪食が過ぎたのだ。」
「・・・・・・・・・・。」そ、そうだ!あまりにも悪食が過ぎますぞ!!
「バラノ丼の食い過ぎでな、労災キクかな?」
「え?」
「丁度いい、ひさや大黒堂でクスリを買っていこう。タラン、お前、金持ってる?」
(ラララ・無人クン、ラララ・無人君〜・・。)
私としたことが、とんだ勘違いだった。よかった、よかった。
 
・デスラー暦800年◎月:日
 最近、私とゲールはよく一緒に飲みに行く。ゲールに、労災は下りたのかどうか聞いたところ、”ぢ ”印の不思議軟膏が結構効いたらしい。余ったら、あげようか?とも言ってくれるゲールは親切心からなんだろうが…いるかぁ!
 で、マイクッションを持ち歩く彼から、今日も凄い話を聞いてしまった。
 「総統が敷いているクッションな、あれ、リバーシブルなんだよ。ドラ○もんをひっくり返すとどら焼きになったり、アン○ンマンをひっくり返すとドキ○ちゃんになったりするのと同じ仕組みで、あのクッション、表はかわいいバラノドンなんだが、裏を返すと…スターシャ様になるそうだ。お尻に敷いているんだぞ、人の顔を…」
 …私では、お役に立てそうにない。
 嗚呼、哀しい。
 
・デスラー暦802年△月□日
 あの、ゲールから聞いていたクッションの秘密を、今日ようやっと知ってしまった!が、しかし、スターシャ様の裏は、古代だった!この2人、いつから?!総統が古代に、なら、私は…今、正に一人寝が寂しくて仕様がない状態だろうと思われる、島に(妻には内緒で)連絡をとってみよう。
 …出てくれるかな、どきどき。
大江戸桃内
2001年07月15日(日) 19時52分18秒 公開
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文庫からの転載。大江戸さんの発想は僕にはできません。お見事。(BY長田)

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