第十二話 『真田の分析』(後編)



「さあ、ここならいいじゃろう? 早速、聞かせてもらおうか。」

佐渡は医務室内、自らの個室に二人を招きいれると真田が座らないうちにそう催促した。
 真田が腰を落ち着けて話を始めようとすると佐渡が、ちょっと待て、と言い残し部屋の隅でなにやらごそごそと探し物を始めた。
やがて戻ってくると佐渡は手にした酒瓶を振りながらニカッと笑った。
 
やっぱり。 真田と徳川は胸の内で苦笑していた。 
佐渡はふちが所々欠けた茶碗を二人にあてがうと酒を注いで回る。
徳川は茶碗に鼻を近づけると匂いを嗅いでみる。ふくよかな香りが鼻腔をくすぐる。
酒を口にふくむとピリッとした刺激と共に微かな甘みを感じさせる液体が抵抗無く喉へと落ちていく。

 これは合成酒なんかじゃない。 間違いなく天然物の日本酒だ。
 
「佐渡先生。いつも思うんじゃが、あんたどこからこんな貴重品を手に入れるのかね?」
佐渡は黙って笑うだけだ。
 
『その昔、佐渡医師は凄腕の外科医だった。彼の手により命を救われた政府高官や財界の大物は数知れず。 彼の飲んでいる酒は彼らからの差し入れだ。』

そんな噂話がまことしやかに艦内ではささやかれている。
だが本気でそれを信じている乗組員など、ほとんどいない。  
それはそうだろう。

彼らが普段目にするのは酒をひっかけては治療室に現れ、診察や治療は衛生兵に任せっぱなし。 アナライザーと戯れては患者を肴に更に酒を浴びる。
こんな普段の佐渡しか見たことのない者からすれば笑ってしまう話だ。

しかし徳川は気付いていた。 佐渡は治療を他人任せにしていながらも、衛生兵の手つきや、使用する薬品類から視線を決して外したりはしていない。
衛生兵にもそれが分かっているため患者に対する集中力を緩めたり、手を抜いた治療などは決してしない。
一見するとたるんだ様に見える光景だが、自分のように注意して見ていればピンと張り詰めた緊張感が感じ取れるはずだ。

それに何より、あの沖田が佐渡に全般の信頼を置いている。
沖田を手術する時の手際も鮮やかなものだったと聞いている。
ただ者であるはずが無い。
そう思う徳川は、噂話を笑い飛ばしてしまう気にはなれなかった。

「まあいいじゃないか、そんなことは。どこから手に入れようと酒の味は変わりゃあせんよ。 それより真田君の話を聞こうじゃないか。」
佐渡は真田に酒を勧めながら徳川をはぐらかした。

「まだ仕事が残っているのですが・・・、まあチョットだけなら。」
真田も酒を口に含むとちょっとびっくりしたような顔をする。
彼の歳なら初めて経験する味だったかもしれない。

「さてと。 艦長の作戦で最大の謎は、なぜあの二人だけが
放射線による攻撃を切り抜ける、と予想できたのか? ということです。
僕はこの謎を解くためにもう一度、あの放射線が脳に与える影響について考えてみました。 
そうすると艦長がなぜ古代と森君を選んだのか、
それが分かってきたんですよ。」

「ほう・・。」と徳川。 「どんな事が?」とは、佐渡。

「放射線の影響によって生じた強烈な恐怖の感情は人間の理性を吹き飛ばし、乗組員たちを生存本能むきだしの存在に化えてしまいました。
そしてその姿は・・・自分の身の安全のみを考え、他人と争う醜い姿です。
正直いって僕は背筋が寒くなりました。
生存本能は生物が生きるために備える基本的な欲求です。
生命の本質と言ってもいい。
他人と殺し合いをするあの姿が生物の基本だとすれば・・・
僕はこの惑星の防衛システムに生命の暗黒面を見せ付けられたような気がしてなりません。」

フン、そんな事。と佐渡が鼻で笑った。
「いまさら教えてもらわんでも、イヤというほど分かっとるよ。」

いつものひょうひょうとした調子とは違い、たっぷりと毒を含んだ佐渡の言葉に徳川は再び先の疑問を心に浮かべずにはいられなかった。

一体、この男の過去には何があったのだろうか? と。

「話を本筋に戻しましょう。 むき出しとなった生存本能は攻撃衝動を強め、他人を攻撃せずにはいられなかった。 なぜでしょう?」
「お前さんが、さっき自分で言っていたじゃないか。 自分が生き残るため、だろ?
恐怖という感情のせいじゃよ。
何かによって、自分の生命が脅かされているという恐怖。
それに対する防衛反応として、とにかく自分に危害を加えてきそうな
総ての者を攻撃する、こういう事なんじゃろう?」
佐渡がやりきれない、といった表情で自分の茶碗に冷や酒を注いだ。

「その通り。‘生き残るため’でした。とにかく‘生きる’ことが何よりも優先されます。」
「当たり前じゃろう。生存本能というのはそのために存在する。」
「先生、そこで質問です。 生物という存在は何のために‘生きる’のでしょうか?」

佐渡は一瞬、酒を吹き出しそうになり、慌ててそれを飲み下した。
「ナ、なんじゃいったい藪から棒に。 そんな難しい事、すぐには答えられん。」
「いや、哲学や宗教的な事を尋ねているのではありません。 純粋に、生物学的な意味で考えてみて下さい。」
「なんじゃ、そんなことなら。 そうじゃな・・・子孫を残すためじゃろう。」

真田は佐渡の言葉に満足そうにうなずき、話を続けた。
「その通り。 もっと正確に言えば、自己の遺伝情報を次の世代に残すため、です。
さて・・、そもそも‘生存本能’というものは生物が‘生きる’ために存在します。
そして‘生きる’ということの目的は、『純粋に生物学的に考えれば』ですが、自分の遺伝子を子孫に伝えるため・・・簡単に言えば自分の子供を残すためです。
しかし我々のような有性生殖生命体は、子孫を造るために異性のパートナーが必要不可欠となります。
どちらか一方が欠けたら子孫は残せません。」

真田は佐渡の手から酒ビンをひったくると自ら酒を茶碗に注ぎ、
のどが渇いていたのか、一気に飲み干した。 
彼の真剣な表情が、挑むようなものに変わっている。 

「謎の放射線が引き起こした恐怖は生存本能を刺激して過剰な自己防衛反応を呼び、他者への攻撃衝動を生む。
早い話が『殺し』の衝動です。
しかしその‘生きる’為の『殺し』の行為こそが‘生きる’目的そのものを妨害し、破壊してしまう・・・そして本能がそれに気づいた時、生存本能自身が攻撃衝動を押さえにかかる、という訳です。」

真田の顔に赤みが差す。 興奮が酔いに拍車を掛けているのだろう。
アルコールにそれほど弱くないはずの真田だが、酔いの回りが早かった。

「ここまで言えばお二人とも、大体分かってきたのじゃないのですか?
艦長の作戦のポイントは攻撃隊に男女のペアを組ませ、生存本能に自らの存在意義を気づかせる事にあったのです。
これで放射線の影響による同士討ちを防ぐことが出来る。」
「じゃあ、古代の奴と森君、あの二人をわざわざ選んだ理由はどうかね? 君もあの二人の仲はウスウス感ずいているじゃろう? 何か関係があるのじゃないのかね。」

徳川の言葉に真田は、マアネとつぶやき、格納庫で見た光景を思い出しながら微笑んだ。

「それはどうでしょうか? 少しは考えたとは思いますが彼らの恋愛感情がこの作戦に影響を与えたかといえば、どうでしょうかね・・・。」
真田は徳川の意見には否定的だ。

「生存本能の暴走を止めるには本能以外の力では無理だったでしょう。艦長は生存本能のより深い存在理由に注目して、毒をもって毒を制する、つまり生存本能には生存本能をぶつける作戦に出たわけですが・・・。
恋愛感情というものは、まあ生存本能に比べれば弱いものというしかありません、力不足ですよ。 
それにあの強烈な恐怖。
甘い恋愛感情などはすぐ吹っ飛ばされてしまったでしょう。
艦長が彼らを選んだ理由は、やはり森君の精神的な強靭さと古代の操縦士としての能力に注目した、そんなところでしょう。」
真田が自分の話をまとめにかかる。

「結局、艦長の仕事はあの二人を選んだ時点で終わっていたようなものです。 後は自分の考えが正しかったことを黙って確認していればよかったのですから。」

・・・そうはいっても、内心はヒヤヒヤものだったろう。 
徳川は第一艦橋での沖田の顔色を思い出しながらそう思った。

「じゃあ私はそろそろ仕事に戻ります。」
説明を終え、腰を浮かせて仕事に戻ろうとする。
しかし、その真田に向かって佐渡がポツリとつぶやいた。

「納得がイカンね。」
なにがです? と真田が尋ねる。

「真田君、今の話、ちょっと納得出来ないところがあるのじゃがね。」
佐渡の言葉には少々真田を挑発するような響きがあった。
それを敏感に感じ取り、いいでしょう、と真田は佐渡の正面にどっかと腰を下ろした。

「私もこの事は考えに考えて出した結論です。 自信があります。でも先生がおかしいと思っているのなら、いいでしょう。 納得いかないところを聞かせてもらいます。」

ホウ、怒らせてしもうたか。 まだまだ若いな・・・。
佐渡は苦笑するとマア、落ち着けと真田にまた茶碗酒を勧めた。 

「君の仮説で基本的な部分にケチを付けるつもりはないよ。ワシも同じ意見だ。
じゃがな、ひとつ言わせてくれ。
君は‘本能’というものを重要視しすぎていないかな?
逆に人間の持つ理性や意志の力を過小評価しすぎてはいないかね?」

しかし、と真田は反論する。

「生存本能とは遺伝子レベルの、自分の体に刻み込まれた生命体の基本的欲求ともいうべきものですよ。それをもっとも重視するのは当たり前じゃないですか。」
「確かに。 じゃが真田君。ワシは見てきたんじゃよ。戦場という極限状況で、生きるか死ぬかの瀬戸際で、人間がどんな行動を取ってきたかということを。」

真田はいつものごとく淡々とした佐渡の言葉を黙って聞いた。

「戦場では人間は様々な行動を取る。 ほとんどの兵士が立派に戦ったが、我が身大事で恥知らずな事をする者もいた・・・まっ、しかたがない。
誰でも命は惜しいからな。」
佐渡は自ら茶碗に酒を注ぎ、グイッと一息に飲み干した。

「30年以上昔の話じゃ。 ワシは火星の小さな基地の病院で研修医をしとった・・・。」
佐渡は手に持った茶碗の中を見つめながらポツリポツリと語り始めた。
真田が冗談めかして、その頃からこんなに飲んでいたんですか?とまぜ返す。
佐渡も、チャチャを入れるなと苦笑する。

「・・・ある日のことじゃ、突然、ガミラスが奇襲を仕掛けてきた。
が、その基地の司令官は腰抜け野郎でな、衛星軌道上にワープアウトした無人の戦闘機械どもにビビって部隊をまとめると逃げ出したのじゃ。
ところが直接戦闘に関係ないエンジニアや医療関係者はホッタラかし。
戦力にならんからと見捨てられたのか、ビビりまくってそこまで頭が回らんかったのか・・・そこまでは分からん。
聞こうにも司令官は自分の戦闘艦もろとも蜂の巣にされてしまったからな。
ガミラスの奴らそこまで読んで待ち伏せをしていたんじゃろう。」

「そんな状況で生きて帰ってこれるとは。 先生、けっこう運が良いですね。」
真田がまた感心半ば、ひやかし半分で佐渡に話しかけた。
だが・・・。

「運じゃと? 運なんかじゃない。 ・・・ある人がな、敵の目を引き付ける囮になってくれたんじゃよ。 その人のおかげでワシはここで酒を飲んでいられるのさ。」

佐渡の声に普段と違った、微妙な違和感を感じた真田の目に意外な光景が映った。 真田は見たのだ。

佐渡の手に持った茶碗が細かく震えていた。 茶碗の中、液体の表面にさざ波が立つ。だがすぐに佐渡はその震えを止めようとするかのように両手で茶碗を押さえ込んだ。

「その人は自分が犠牲になることで皆の命を救ったんじゃよ。 真田君、もし人間が自らの生存を、遺伝子を残すことだけを最優先する生存本能の奴隷のような存在なら、なぜその人は・・・いやその人だけじゃない。
人間は他人の命を救うため自らの命捨てるような行動ができるのかね?」

そう続けた佐渡の声にもう感情のたかぶりはなかった。
だが、真田はいつものひょうひょうとした、自然体の佐渡とは違う、何かに対して身構えているような、そんな感じがしてならなかった。

佐渡は空になった茶碗を置くと背後の壁に背中を預け、何かを思い出そうかとするかのように目を閉じた。

「その人は純粋で優しくて、心のきれいな人だったよ。じゃがな、憶えておいた方がいいぞ。 戦争ではそんな人間ほど早死にする・・・馬鹿な話だ。」
佐渡は閉じていた目を開けると茶碗を引き寄せ、またそこに酒を注いだ。 
真田はただ黙って佐渡の次の言葉を待っていた。

「・・・基地司令官は自分が助かりたい一心で、お前さんが言うところの“生命の暗黒面”をさらけ出した。 
だがその人は、皆を助けたいという純粋な心でその生命体の“業”(ごう)ともいうべきものを乗り越えた。
人間にはそういう、生存本能すら越えることができる意志の力が備わっているはずじゃ・・・」

佐渡は茶碗の中の液体を見つめながら話を続けた。

「確かに今回の事は普通とは違う。 謎の放射線により、恐ろしく強い恐怖を感じていた心理状況じゃからな。
それによる『生存本能の暴走』を食い止めるのは意志の力では無理かも知れん。
だがそれでもワシは、自分が死ぬとしても相手を助けよう、というあの二人の強い意志の力が、殺し合いを防ぐ多少の力にはなった、そう考えとる・・・いや、ワシはそう思いたい。」
「・・・・・・。」

真田は何も答えない。ただ黙って考え込んでいた。
その時、二人の話を聞いていた徳川が口をはさんだ。

「艦長がとった作戦の基本は“生き残る”ために生存本能が起こした行動を、“子孫を残す”ための本能で抑えることだった、そこは間違いなかろう。
じゃがあの二人、どうして最初のうちは互いを殺そうとしたのかね?
互いに相手は異性だというのは最初から分かっていて、“生き残る”ための生存本能もそれは承知済みのはずだ。
だったら最初から過剰な防衛反応、つまり殺人衝動そのものが発生しなかったはずではないのかね? 
だが、現実にはそうはならなかった・・・。」

「でも結局は同じことでしょう? 確かに殺人衝動は発生しましたが、その後消滅した。 時間差が有っただけのことです。」
真田がそんなことは些細なことだ、というように反論した。

「その時間差が問題じゃよ。 多分、時間差ができたのは採掘班の時より格段に強い放射線の影響で、“生き残る”ための生存本能の方がより強く刺激された結果じゃろうが・・・、
例えて言えば短距離走で、スタートの合図に早く反応して飛び出した方が先行する、みたいなもんじゃな。
そこでじゃ。 
ひとつの可能性として“子孫を残す”ための本能が殺人衝動をおさえるにしても、その前に殺人が済んでしまう、つまり間に合わないことも艦長は予想していたんじゃないのかね。 
しかしあの二人の、互いを思いやる強い気持ちが殺人衝動を抑え、“子孫を残す”ための生存本能が発動するまでの時間稼ぎをしてくれたので今回は間に合った。
艦長はこういったことも期待して、あの二人を選んだのじゃなかったのかな。」

・・・そうか、なるほど。
「あるいは彼らの意志の力が“子孫を残す”ための本能を目覚めさせる“引きがね”の役割をしたか、ですね・・・。」

まいったね・・・。
艦長は生存本能の暴走を抑えるために“子孫を残す”本能を利用し、また古代と森雪との恋愛感情により補強された強い意志の力をも利用する、二段構えの戦術をとったわけか・・・。
真田はあらためて沖田に脱帽した。

しばらくの間、三人は黙って沖田の作戦を反芻(はんすう)していた。
やがて佐渡はボソッとつぶやいた。

「実をいうとな・・・ワシはあの二人を見ているとワシを助けてくれた人を思い出してならん。 だからかもしれんが、やはりワシはあの二人の愛情がこの惑星の防衛システムに打ち勝ったとそう考えたいのじゃ。 しかしこのワシの考えは・・・やはり甘いのかね。」

ある人とは誰なのですか? その人とあなたとの関係は?
真田はそう聞きたかったが、どうしてもその質問を口にすることが出来なかった。
佐渡からは一切の質問を撥ねつける、心に鎧を着込んでいるような、そんな雰囲気が感じ取れた。
だが、真田には佐渡の気持ちが分かるような気がした。

誰にだって触れてもらいたくない過去があり、他人には踏み込んでもらいたくない記憶があるのだ。 
真田は茶碗を握った自分の手を、作り物の腕に目を落とした。
そうさ、この俺にだって・・・。

いや、と真田は頭を横に振って答えた。
「参りましたね。どうやら自分の考えは浅かったようです。」
フン。と佐渡は鼻から声を出した。

「安っぽい同情ならやめてくれよ。 訂正するなら今のうちじゃぞ。」
すねた調子で佐渡は言う。 真田は少しだけ微笑んだ。

素直じゃないね、この人も・・・。

「いや、自分も科学者の端くれです。事実は事実として認めなくてはなりません。 今回は先生の方が正しい。
 なるほど、確かに操縦の腕だけで考えればブラックタイガーの誰か・・・そうだな、山本の方が良かったはずです。
まあ、あの性格が難点ですがね。
だから艦長があの二人を選んだのにはもっと別な理由があり、それは恐らく徳川機関長が言った通りのことだったんでしょう。」

その時、真田はあることを思い出した。

「ですが、理解できない事が一つだけあります。艦長がこのことをなぜ隠すか? ということです。 
なぜ、あんなに秘密にしたがるのですか?」
徳川が、そんなことも分からんのか? といった口調で真田に答えた。

「そりゃ決まっとるじゃろう! 彼女が自分の気持ちに気づいているかどうかは知らんがね。
“森雪は古代にホレている、艦長の作戦がそれを証明した。”だぞ。 
 そんなことが艦内中に知れてみろ。
うちの若いモンからは首を吊る奴が続出するぞ。」

「まったくじゃな。そうなれば古代の奴も四六時中、背中を気にしながら歩かなくちゃならん。」
佐渡と徳川は顔を見合わせてゲラゲラと笑った。

「なるほど。無用な騒動は避けたい、って訳か・・・。 工作班も似たようなものですよ。」
真田も照れたように笑って頭を掻いた。

「しかし、艦長も粋な作戦を考えるのう。 あの堅物ぶりからは想像もできんわ。」
佐渡はやっと上機嫌の、いつもの佐渡に戻って二人にまた酒を注いで回った。

「いやあ、艦長もあれで若い頃は相当なもので。  実はこんな話が・・・・。」
徳川が声を落とす。
  「・・・ホウ。」 
 「それは初耳じゃ。」
室内には他に誰もいないのだが、なぜか額を集めてヒソヒソ話を始めてしまう三人。
そして沖田はその日、一日中くしゃみが止まらなかった。









筆者注。
前回よりの続き。↓↓



え〜前回、相対性理論から導かれる、時間の流れが遅くなる現象は日常的に起こっていると申し上げました。

だが、我々はそれを実感できていません。

 それもそのはず、確かに静止状態の物体と移動する物体との間では時間のズレが生じるのですが、ある程度、光速度に近づかなくては実感として捉えられるほどの大きなズレにはならないからです。

実例で考えて見ましょう。
地球上で最も高速で運動している人間、といえばやはり宇宙飛行士の皆さんでしょう。

さて現在、世界各国が協力して『国際宇宙ステーション』建設計画が進行中です。

この巨大な人工衛星(総重量は約420t!)は高度約400kmの衛星軌道上を約90分で地球を一周する予定です。
ということはその速度、なんと時速約28050km!
ピンと来ない方には音速に直してM(マッハ)23と表現しましょう。 
超音速戦闘機の約10倍のスピードです。

ではこの国際宇宙ステーションで一年間生活したとして、地上との時間のズレがどのくらいになるかを計算しましょう。
 前回の時間の遅れを計算する公式に当てはめて、え〜と、時速28050kmは光速度の0.0026%だから・・・√0.99999324×3153600(秒)=106秒62。

ありゃま。音速の23倍で一年間もスッ飛んで、たったこれだけ。
(イヤ、しかし、たった1分と46秒でも自分より未来の地球に降り立つことになるわけだから、これはコレで凄いことかもしれない。)

ましてや日頃から我々が利用する自動車や飛行機のスピードでは、そこから生じる他人との時間のズレを自覚しろ、という方が無理でしょう(時間のズレが微小すぎる!)。

しかしですよ皆さん。 私が言いたい事はここからです。

それがたとえ極度に微小な時間のズレとはいえ、ズレが有ることに間違いはないのです。 とすれば我々人類、一人一人は独自の時間の流れを持っていることになり、もっと言えば宇宙に存在するあらゆる物体には、それぞれに固有の時間が流れていることになる!

・・・イヤ、だからそれがどうした、と言われればそれまでなんですがネ(^_^;)。
自分はこういった考え方が妙に気に入ってまして・・・なんででしょうかねェ?
 やっぱ、ズレているのは時間じゃなくて、
自分の感性なのかもしれませんな(^_^)。


ぺきんぱ
2002年08月28日(水) 22時46分38秒 公開
■この作品の著作権はぺきんぱさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ


「皆さん、今晩は。作者のぺきんぱです。」
「アシスタントのキンキンですゥ。」

「では早速キンキン君。今回の感想は?」
「なんか、ヘ理屈、屁理屈の連続で屁理屈の嵐、って感じですネェ。」

「そこは作者も自覚していて本編では在りもしなかった佐渡酒造の過去なんかをでっち上げて誤魔化そうとしましたが、・・・やっぱりダメダメでした。」
「オリジナルキャラクターや本編に無い設定は使わない、
というルールで始めたつもりなんですが。
アッサリ破っちゃいましたねェ。」

「マッ、もともと“山田心理分析官”なんかは反則ギリギリだったからな。
遅かれ早かれこうなることはネ・・・。 
読者の皆様、大口叩いてすいません。」
「あと先考えずに見栄を張って失敗するのは作者の悪いクセよねェ。
この前だって難しい仕事を抱え込んで、意地になって自分でやると言い張って、
結局は周りに迷惑を・・・」

「コラコラッ! わたくし事をここに持ち込むんじゃない! とにかく艦長の作戦が成功する論理がナァ・・・まるで全日空しか乗り入れていない空港だもんな。」
「・・・なに? それ?」

「ANA(全日空)だけに、アナだらけ。 ・・・ナンちゃって。」
「・・・・(怒!怒!怒!怒!怒!)アンタ、ほんとは反省してないでしょッ!」




「まあ、この件はこれぐらいにして。 キンキン君、他に気がついたことは?」
「う〜ん。少し暗いですね。」

「そうかぁ? 蛍光灯は昨日換えたばっかりだぞ。」
「だぁーから、そういうベタなギャグは止めんかッ!! 
先回の『戦士には・・』以来、話がチョット暗くないですかァ?」

「それもそうだな。ヨシッ、次回からは明るくいきましょう。
では皆さん次回、『森雪の直感』でお会いしましょう。」

「また今度も“兵法”とかで大嘘かましているんじゃないでしょうねェ?」
「フハハハハ。安心セイ、皆の衆。武士に二言は無いぞッ!!」

「アンタのどこがサムライなのよッ! 馬鹿ァ!!」

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